ジョアンターナーの音楽ばっかの日記

ただただ好きな音楽のことを語らせてもらうブログです。すべて個人の感想です。

ユニコーン 「家」

「家 」 : ユニコーン

作詞作曲: 奥田民生

 

前回に引き続きユニコーンの楽曲です。
7thアルバム「ヒゲとボイン」に収録。
この感じの曲は実はユニコーンに多いような気がします。
この曲もまた歌詞が素晴らしいんです。


 

 

  役所の人があらわれて
  親父と何か話してた
  僕らのうちは邪魔になるらしい

 

  これで道路も広くなる
  街のためさしょうがない
  新しいうちに住めることだし

 

  僕らの家が 新しくなる
  僕らの家は 新しくなる

 

  生まれる前からここにある
  むかしは何色だったの
  ボロボロだからみんな捨てようか

 

  いすも机も 柱も壁も
  僕らの家は 新しくなる

 

 

  僕らの家が 新しくなる
  僕らの家が 新しくなる

  いすと机と 柱と壁と
  僕らの家は アスファルトの下

 

  見知らぬ場所に座ってる
  慣れないドアのそいつは
  コンクリートで丈夫なやつだよ

 

 

  僕がこの曲の詞で好きなところは、「悲しい」とかの類のワードを一切使わず、なんなら真逆の意味の言葉を使って悲しさとか寂しさとか喪失感のようなものを感じさせるところです。

 

サビ、「僕らの家は新しくなる」という(事実)のみをひたすら繰り返すことで、聞き手に当事者の心情を想像させる。

 

言葉が少ない分非常に繊細な表現だなーと感動します。

 

この曲、冒頭から半分以上のところまで、奥田民生さんの弾き語りのみで歌われているのですが、一緒に鳥の声や虫の声が聞こえてきます。
自然の音が入ってるというのは別に珍しいことではないのですが、この音源は実際に河口湖のスタジオ(記憶違いがなければ)の外(!)でレコーディングしたらしいです。
つまり、ギターの音も歌声も、鳥や虫の声も同時録音なのです。

 

そのせいか、歌い手と聞き手との間に距離感を感じさせ、なんとなくリアリティのないというか、他人事のように歌っているように聞こえます。
それがより悲しさを引き出しててイイ!

 

そして後半、弾き語りから一転、急にハードなサウンドでバンドが入って間奏にはいります。

 

そして繰り返されるサビ
クライマックスがやってきます

 

  いすと机と 柱と壁と
  僕らの家は アスファルトの下

 

…文字だけで伝わるかどうか…ハードロックのサウンドの中で歌われるこの言葉は、ずっと住んでいた家での思い出、愛情、そしてそれを失った喪失感、悲しみがギューッと凝縮されて押し寄せます。


そしてバンドは消えて再び弾き語り

 

  見知らぬ場所で座ってる
  慣れないドアのそいつは
  コンクリートで丈夫なやつだよ

 


  今でもこんな話はたくさんあるのかもしれませんが、この曲が発売された当時の方がよく聞いた気がします。

 

まだ昭和が終わって2年、前時代のものが新しいものにこぞって変わっていく時代。

ボロボロでも便利じゃなくても、アナログで非常にナチュラルで、人の想いのたっぷり染み込んだ「モノ」。

新しい時代に進むためとはいえ、それらを手放すことに深い悲しさや痛みを感じるというのは多くの人に共通した気持ちなんじゃないでしょうか。

しかしそれも受け入れて、前に進んでいこう。

そうしてヒトは成長を続けていくのかもしれません…

 

なんてことまで考えてしまうほど、好きな曲です。。。

 

ユニコーンというバンドはふざけたようなセンスのいい楽曲が多いなか、時たまスルリスルリと人間の本質のようなものを忍ばせているからたまらなく好きなんです。

 

また好きな曲のこと書きます。

おしまい!